運が良ければ龍は肉眼で確認できるんだよ
- 亞空 淺田
- 3月23日
- 読了時間: 4分
更新日:4月7日

5月の始めころになると、家々にはためく「鯉のぼり」の姿がちらほらと垣間見えてくる。
昔はそれを見てもさして感慨は湧かなかったが、今は「はためき泳ぐ鯉」を見ると『龍』の姿を想起する。
昔の人はなぜ「鯉のぼり」というものを作ったのだろうか?そう思って調べてみると、『登竜門』という言葉が出てくる。
滝を登る鯉はやがて成長して「竜」となる・・・というもの。いわば「竜のヒナ」とでも言おうか。
鯉のぼりと一緒に飾られる「五色の錦」は陰陽五行の五行が元であろう。
日本では「キヒツカミ」と言い「甲乙丙丁戊己庚辛壬癸」というキヒツカミの陰陽合わせて十干を言う。
つまりは「五行の巡り」というものを現わしているのが鯉のぼりであるだろう。
午の月(現5月)の初旬(端)で端午の節句(季節の変わり目)に『邪気祓い』として掲げるのが「鯉のぼり」だそうである。
では「邪気」とは何か?
それは『巡りを阻害するもの』であり、五行の巡りが阻害されることによって様々な「悪」が湧く。昔の人はよくわかっていた。
春を迎えて回り始めた自然の「巡り」が滞りなく回るように・・・・
そういう思いを込めてのぼりを掲げて来たのだろう。
「午の月」はちょうど「真ん中」であり一年の「折り返し」へと移行する時期でもある。
そして、午の月を過ぎれば「梅雨」となる。
『今年もたくさん雨を降らせて』という願いもこもっているだろう。
そして梅雨が来る。
夏へ向かう梅雨空は忙しい。
落ち着いた五月雨がしとしとと降り続ける時もあれば、降ったり晴れたり忙しい時もある。
雲が湧いたり消えたり忙しい時、空には風が「何層」にも分かれて吹いている。
雨雲は北へ流れているのに、その更に上にある雲はゆったりと東へ流れていたりする。
そんな空を眺めていると、時折、流れる雨雲の後を追いかけるように「それ」が泳いでいるのが見える。
雨雲の切れ間に太陽の光が差すと、いかにも「鯉のぼり」が「そこ」に在るかの如く「雨雲の水気を含んだ空気が光の屈折」を見せる。
それは「目に見えないがそこにある」何ものかを型取る。
水面すれすれを泳ぐ魚が水面に波を立てるように、水気を含んだ空気の層を泳ぐ「それ」が押しのけた水気に太陽の光が当たり、「それ」の姿を型取っているのがわかる。
「それ」は雨雲を追いかけるように、確かに「泳いで」いる。空にはためく「鯉のぼり」が泳いでいるように。
だが「鯉のぼり」と違うのは、「それ」は明らかな『意思』を持っているのがわかる。
ただ風に流されはためく「のぼり」と違い、魚が進んでは止まり、また進み・・・
という「一定ではない動作」を繰り返しながら「雨雲」を「追っている」のか「押している」のか・・・
そんな『意思』が伝わる。
そして、それは「鯉のぼり」よりも長く、「鯉のぼり」よりも「蛇行」して進む。だが蛇のような「にょろにょろ」というよりも、鯉が泳ぐ「それ」に近いもの。
見上げた空で「それ」を見つけた私は
『あぁ、龍だ』
透明なはずの「それ」は「それ(龍)」以外には見えなかった。
以来、私はよく空を眺めるようになった。
雲一つない空・・・雨雲よりも遥かに高いところで何かが動く。
動いたと思ったら、その「軌跡」を辿るように一筋の「雲」が出来る。その雲はしばらくすると消えてゆく。
『こんな空の日はあんなに高くに居るんだ』
眺めていると、一筋、二筋、三筋・・・・
別々の場所で筋雲が生まれては消える。
『複数で群れているんだな』
目的地へと歩を進めていると、その筋雲が「進む方」へと現れては消え・・・を繰り返す。
「こっちだ」
と言わんばかりに・・・・・・
彼らは空の層の「水気」を含んでいる層にいるんだなと、何度も見ていればわかるようになってくる。
雨の時は「雨雲」の層まで降りてきて、晴れの日は遥か上空の層に居る。または「もっと降りてきて」水のある場所、水気を含む空気がある場所を泳いでいる。
時折、近くに来て立ち止まることもある。そんな時は「強烈なエネルギー」のため「エネルギー当たり」を起こして少しクラクラする。
すごい「圧」である。
魚が水から出ないように「龍」は水気のある空気層から滅多に出ない。
龍が「雨を司る」とされる所以である。昔の人の中に「それ」を知っていた人が確かに居るということだ。
梅雨の時期は空が忙しい。それは「彼ら」が忙しく泳ぎ回っているから・・・
雨雲を「追いかけて」いるのか「押し動かして」いるのか・・・
今年も梅雨はやってくる。空を眺めていたら、運が良ければ空を泳ぐ彼らに出会えるだろう。
自然の「巡り」を支える彼らは、自然の「理(ことわり)」の一部であり、自然の「邪気」を常に祓っている。
「鯉のぼり」を掲げるのはもしかすると「龍を呼んでいる」のかもしれない。
「ここに仲間がいるよ」と・・・・
そして「雨を降らせてくれよ」と・・・・
流れる雨雲の周りで泳ぐ巨大な彼らの泳ぎが見れたら幸いである。

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