アロマブレンドは【愛情料理】
- 亞空 淺田
- 4月1日
- 読了時間: 5分
更新日:4月7日
よく目にする「アロマブレンド」と言われるものは、だいたいが3~4種類くらいまでのアロマオイルをブレンドしたものが多い。
ですが、私のブレンドは10種類以上のアロマオイルをブレンドしており、一番多いもので20種類のブレンドをしている。
恐らく3~4種類のブレンドが精いっぱいであり、それ以上は意味がないとか、逆に悪くなるとか、そのように考えて3~4種類で止めている人にとっては「邪道」のように見えるだろう。
だがそれは、アロマオイルに対する「見方」が『一方的』であるからだと思う。
私は、アロマブレンドは『料理』と同じものだと考えている。
それは「素材を多方面からの視点」で捉えるということだ。
たとえば、「鰹(カツオ)」という魚は「タタキ」という刺身にもなれば「出汁」にもなる。
同じ素材で「用途」は全く違うもの。
また、味噌汁ひとつ作るのに、どれだけの素材が一杯の味噌汁の中に使われているのか?
味噌は「大豆と麹と塩」の発酵物であり、出汁には「カツオや昆布や煮干しやシイタケ等」が染み出しており、そのうえで「具材」というものが入ってくる。
これが料理というものだ。
アロマが3~4種類ということは、大豆とカツオと具材と・・・・
そんなブレンドだということになる。
料理と同じようなアロマでは、『メイン』となるアロマオイルが3~4種類あり、それら『メイン』を引き立てるために他のアロマをブレンドする。
そして、これも料理と同じく『順序』というものが存在する。
『順序』とは「主体」であるものと「副体」であるものの順位である。
「主体」とは『メインディッシュ』であり、そのメインを引き立てるための、または補助するための「副次的」な料理である。
そして、それら3つ4つのアロマを「どのように」食するか(香りをとどけるか)ということである。
キーマカレーには主となる肉と副となる野菜が混ざり込み、そこへ様々なスパイスが追加される。
マトンカレーには羊肉にほうれん草といった組み合わせがあり、そこへキーマカレーとは違った配合で様々なスパイスが追加される。
アロマも同じことである。
たとえば、私のアロマフレグランスのブランドに『Re;Quiem(レクイエム)』というシリーズがある。
このシリーズに共通して使用されているベースのブレンドというものがあり、6種類のアロマブレンド『Re;Quiem ZERO』というブレンドが共通したベースとして使われている。
これは言うなれば『出汁』と同じ。
6種類のブレンドを『出汁』にした料理・・・ということだ。
この6種類の『出汁』のようなブレンドは、基本的に『セロトニン』を誘発させるためのブレンドである。
そして、この『セロトニン』を誘発するという「基本」の上に、そこから『どのように心身を導いてゆくか』という、料理にとっては『栄養素』的な考えで、メインディッシュと副菜を織り交ぜていくのである。
つまりは、「Re;Quiem ZERO」という出汁で創作する煮込み料理を、ポトフのように振舞うか、クリームシチューのように振舞うか、ビーフシチューのように振舞うか、カレーのように振舞うか・・・・といった感じである。
たとえば、元気の無い人にアロマの香りで「元気」を届けたい・・・とする。
じゃあ「元気が出る」アロマ・・・例えばローズマリーのようなものを提供すればいいのか?というと、そう単純ではない。
まず、「元気がなくなった原因」というものがあるだろう。
そして、それが解決していないから元気がないという場合、いくら元気を後押ししても「鬱陶しい」だけである。
それは「言葉」でも同じだろう。
元気がない理由が何なのか?
悲しいことがあったからなのか?
恐い思いをしているからなのか?
寂しさなのか?
疲れなのか?
それらが未だあるうちに「元気出せ」「頑張れ」と言っても、鬱陶しいだけである。
まずは、元気が出ない「因」であるものを癒すのが先であろう。
その「因」を鎮めるために、悲しみに寄り添い、痛みを癒し、怒りを鎮め、恐れを抱き、孤独を慰め、疲れを解くためのアロマを「先制」させなければならない。
そして、その香りで常に覆いながら、「ローズマリー」の香りを『そっと』届ける・・・・
あからさまに届けるのではなく『そっと』である。
ローズマリーの強烈な香りを『そっと』届けるためには、ローズマリーの香りにある『角』を取ってやらねばならない。
そのために別のアロマを使って化学反応させて「まろやかな」ローズマリーに仕立ててやることが必要となる。
そして、メインディッシュである『ローズマリー』が主張する前に、「癒し」を先に届けて『ローズマリー』への「受け入れ態勢」を作るため、トップノートの香りとともに「癒し」の成分が重なるようにしていく必要がある。
ローズマリーというメインディッシュを「美味しくいただく」というブレンドの組み立て方は、このように順序立てて組み立ててゆくというわけである。
そして何より「料理(ブレンド)全体を整える」役割を持たせるアロマというものもある。
香りの「バランス」をとるということだ。
それを一滴加えるか加えないかで、香りの印象が全然違ったものとなる。
まるで「月桂樹の葉」のように「隠れたアロマ」に適したものというのも存在する。
アロマブレンドを3~4種類だけ・・・というのは、私から見ればそれは単なる「ミニサラダ」にしか見えない。
キャベツとトマトとレタスとタマネギスライスが入った小皿・・・・
つまりはアロマオイルをそういう素材としての「見方」で見ているということだ。
アロマオイルは「香りの効能」を伝えるものである。
それを『左脳』で考え『左脳』で答えを出していると、こんなミニサラダのようなブレンドしかできない。
アロマは『右脳』でちゃんと感じながら、そして『心』でちゃんと感じながら、さらには『身体』でもちゃんと感じながらブレンドしてゆくものである。
そうやって出来上がった複雑なブレンドには『愛』がある。
それは料理と全く同じ。
食べる人のことを思いながら料理を作るように、その香りを纏う人のことを考えながら、心が癒され、元気が湧き、それが身体へと転化してゆく様を想像しながら創造してゆくのが『愛あるブレンド』というものだろう。
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