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Re;Quiem Sakuya 〈咲耶〉







Re;Quiem Sakuya のブレンドは『天地五龍相克』では『火』にあたるブレンドです。


凍えた心に「火」を灯して『勇気』を与える・・・・



木花咲耶姫が産屋に火を放って御子を産みだしたように、恐れを克服し『勇気』と『覚悟』を持てるようにブレンドを調合しました。





Sakuyaブレンドのメインは「オレンジ」を重ね合わせた「ローズマリー」が醸し出す情熱の香り



「不安」や「恐れ」に委縮して「凍えた心」に、太陽の暖かさを浸透させて、心と身体を温めながら、上半身に上がってしまった「気」を鎮めて下半身へと下げていきます。



甘く暖かで「芯」のある香りは、雪解けのころに咲く「梅の花」のように「春」を告げ、太陽の暖かさが感じられる季節が訪れ、やがては「太陽の季節」である夏へと向かうことを予感させられるような印象の香りに仕上げています。




「勇気」は「恐れ」を克服した「安心」先のに訪れるもの・・・


「恐れ」を乗り越え「安心」という一休みを終えて、ようやく「勇気」という「炎」を燃え立たせることができるのです。




ですから、ローズマリーという「火」を、オレンジという「行燈」で包み込み、あたたかな「火灯り」で温もりを届けるようにしてあります。



そうして心も身体も十分温まり、ようやく前を向いて一歩を踏み出す「勇気」が湧いてきて、心の中に微かに残っていた「情熱」の残り火を大きくして「炎」へと高めてゆくことができるのです。





Re;Quiem Sakuya 香りの物語



本番前の楽屋にて・・・




『うん!絶対に大丈夫! いままであれだけ練習してきたんだから・・・』


鏡に映る不安気な自分の顔に向かって勇気づけてみたけど、瞳の奥の不安気な色は消えてくれない


そんな自分の不安顔が、よけいに不安な気持ちにさせる


『まだ30分はあるから練習しておこうかな・・・』



本番前・・・

楽屋に充てられた一室の鏡の前で華やかなドレスを身にまとって、硬く強張る手でなんとかメイクを終えたところで、心の中に一気に不安が広がってきた



朝、家を出るときには意気揚々としていたはずなのに、ホールに入り楽屋に通されたときから、胸の鼓動が自分でも聞き取れるほどになってきている



ようやくここまで来た

長く険しい道のりだったけど、頑張ってここまでたどり着いた

その喜びは格別のもので、昨日の晩は興奮してなかなか寝付けなかった


そして、ようやく待ちに待ったものが訪れようとしている


『嬉しい』


でも、今までの長く険しい道のりが、もしかしたら今日失敗することですべてがパーになってしまうんじゃないかな?


そんな不安が・・・・



不安は、最初は小さな気泡のようなものだったのが、本番が近づくにつれてどんどん膨れ上がり、今では心いっぱいいっぱいになっている


『あぁ、どうしよう・・・』


ミス=失敗=絶望


小さな不安が恐れに変わってしまい、もはや本番が来ることが恐怖にさえ思えてしまう


『ダメ、考えないようにしよう』


そう強く思えば思うほど、心の中にしっかりと刻まれてゆく不安と恐れ


1人静かな楽屋がかえって寂しさを与えるから、不安を増長してしまっている




ふとそのことに気が付いて楽屋の窓を開けてみた



窓を開けると夏の終わりの暑気が室内に流れ込み、遠くヒグラシの声が聞こえてくる


外の空気を吸い込もうと窓から顔を出すと、燃えるようなオレンジ色の夕焼け空が美しく広がっていた



その夕焼け空を見ると、懐かしさがこみ上げてきた


『そういえば、始めた頃は練習を終えた学校からの帰り道で、毎日こんな夕焼けを見ていたなぁ』


ただただ・・・

がむしゃらに進んでいたあの頃

なんにも怖いものなんてなかった


それなのに、今はなんでこんなに怖いのか?


あの頃は失うものは何もなかった


『それじゃ今はあるの?』



自問してみた


いったい何を失うというのだろうか?


今ここに至る道のり

頑張った努力


それらはすでに自分の血肉となって心と身体に息づいている


それらは、なにがあろうと、何が起ころうとそれが失われることはない



それじゃあ何を恐れているのか?


ミスしたり失敗してしまった時の他人の視線や評価?


あぁ、そうだ

きっと、そんなものを恐れている



確かに他人の評価も大事なのかもしれない


でもそれは、うまく出来たから、評価が上がったからと言って自分自身の何かが上がるもの?



それに・・・・


『私が一番欲しいのは〈評価〉じゃない』



私が続けて来たのは好きだから、楽しいからという想いから



学校で、制服姿で練習して

あの夕焼け空の下の帰り道

楽しさの後の心地よい疲れ



その時の心が溢れてきて、甘酸っぱい感覚が胸いっぱいに広がって、膨れ上がった不安の泡を押し流してゆく



そうなんだ!!


まだ道の途中なんだ!!


まだまだ先にも道は続くんだ!!



これからも挑戦はたくさんある


もはや 自分は完成された・・・などとは間違っても思わない


だから・・・・


だからこそ楽しい



まだまだ道は続いている


この道を歩くことが楽しくて仕方がない



『この道の先を知りたくて歩いてきたんだから』



今日の本番を終えても、またあの頃の夕焼けの帰り道のように未来を夢見て進むだけだ




そう・・・・・


今も昔もなんにも変わっていない


それなら、ひたすらに一生懸命やるだけ


『やることが楽しいんだから』



ただただ楽しむ


それだけでいい・・・





コンコン とドアを軽くノックする音


カチャリと扉が開き係りの人が


「そろそろ本番です、お願いいたします」


と言って扉のところで待っている



その声に、窓を閉めて振り返った時には、もう不安も恐れも消えていた


夕焼けに焼き尽くされたのか、甘酸っぱい思い出にかき消されたのか・・・



『はい』


と、晴れやかな笑顔で窓を閉めて扉に向かう



「それじゃあご案内します」


『お願いします』



二人が出て行きカチャリと扉が閉まる



そして・・・・・・


規則正しい二人の足音が遠ざかっていった・・・・









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