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Re;Quiem Mio〈澪〉






Re;Quiem Mio のブレンドは『Re;Quiem Zero(零)』という「女神シリーズ」すべてに含まれる『ベース』となるブレンドです。

これは『天地五龍相克』に於ける『水』にあたるブレンドとなります。



Re;Quiem(レクイエム)という名前の元ともなるものであり、その効果は『飢え渇きを癒す』という最も大切な効能を持たせたベースブレンドです。



このブレンドの開発の発端は「食べ過ぎる」ということを『抑制』するという観点から始まりました。

「特別お腹が空いているわけではないけれど、何故か食べてしまう。」

しかも『甘いものを食べてしまう』という「脳内の飢え渇きの代償行為」を止める・・・という発想で開発を始め、そこで注目したのが『セロトニン』という脳内物質です。


甘いものを食べる言によって「セロトニン」が発生されるという機序があり、つまりは「セロトニン」を脳内に発生させるために食べているのだろう・・・・ということです。


それじゃあ先に「セロトニン」を発生させれば「甘いものを食べてしまう」という行為は無くなるかもしれない・・・

という理屈が立つわけです。


では、どのようにすれば「セロトニン」は発現されるだろうか?

それ(セロトニン)をアロマのブレンドで誘導するために、どんなアロマオイルを使えばよいか?


何度もブレンドを行い、そのたびに「テスト」をしていただき、そうして「効果」が確実に見いだせたブレンドが「Re;Quiem Zero」というブレンドでした。


そして、これをリップクリームのような形式に整えた「微香の練り香水」を作り、唇や口周りに塗布しても問題ない素材で制作し、再びテストとして数名に数日間から数週間しようしていただいて「効果」があったことを確認しました。


実際、科学的に「セロトニン」が発現されているかというのは確認は出来ませんが、確かにストレスなどによって「食べてしまう」という行為が「抑えられた」ことを確認したものです。



Re;Quiemという名前のもう一つの由来は、このブレンドに『安息香(ベンゾイン)』が主体として使われているからです。

レクイエム(葬送曲)は『安らかに眠りたまえ』という思いを込めた曲であり、「安らぎ」をもたらす『安息香』の甘い香りの周りに5種類のアロマをブレンドして「安眠」へと導く香奏を創り出したものであります。




まずは心の、精神の「飢え渇き」を癒し、安らいだところへ様々な「香り」を届ける・・・・

それが『Re;Quiem Zero(零)』であり、それを練香の様式にして香りを「微細」にしたものを『Re;Quiem Mio(澪)』と言います。




香りを微細にしたのは『忘れられる香り』であることを目指したからです。

付けていることさえ忘れてしまうほどの微細な香りで、気付けば「幸せホルモン」が発動されている・・・

という状態にしたかった。


Re;Quiem Zeroの原液の香りは『金木犀(きんもくせい)』の花の香りをイメージしてブレンドしており、その香りはとても甘さが強く、かえって「甘いもの」を想起させてしまうからです。


ですから、香りはほとんど感じないが、成分だけは確かに吸収できるように・・・


それが「Re;Quiem Mio(澪)」です。






『Re;Quiem Zero(零)』香りの物語




老人と少年




学校に行かなくなって何か月になるんだろう・・・

ここ数か月、家の中からほとんど出ていない

このままじゃダメなんだろうけど、だからといってどうすることも出来ない



ただ、何故か今日は家の中にいるのが無性に息苦しくて、思わず外に出てみた


昼間とはいえ少し肌寒くなってきている


『もう10月だもんな・・・・』


何処へ行くともなしに歩いて、隣町の大きな公園にふらりと立ち寄る


昼間の公園にもいろんな人がいる



小さな子供を連れたお母さんたち

仕事中だろうか、休憩をしているスーツを着た人

近道をするために公園を横切る人たち

そんな人たちをぼんやり眺めながらベンチに腰かけていた

すると


「なんじゃ、少年 今頃は学校の時間じゃろうに」


こちらへ歩きながら見知らぬ老人が声をかけてきた



面倒だなぁ

そう思っていると、老人は僕が座っているベンチに無造作に腰を下ろした


なんだ??



「おぬしサボっておるのか?優雅じゃのう」


そう言いながら老人は僕の顔を覗き込む


「ふむ・・・優雅なわけではなさそうじゃ」


『・・・・・・・』


無言でいる僕に気を悪くする風でもなく、あきらめてどこかへ立ち去るわけでもなく、老人は目を細めて公園の人々を眺める

横目で老人をよくよく見ると、一見みすぼらしい感じでもあり裕福そうな感じでもあり・・・

そのちぐはぐさについつい引き込まれてしまう


その視線に気づいたのか、老人がふとこちらを見て


「おぬし、なんで学校に行かんのじゃ? 好かんやつでもおるんかの?」


『・・・・・・・』


そんなこと一言で答えられることじゃない


ここにいたらこの後も老人に質問攻めにされるかもしれない

そう思い僕は面倒になってベンチを離れて公園を出て家へ帰った



-------------



翌日、再び昼頃に公園に行ってみた

2日続けて外に出るなんて珍しいことだけど、なんとなく昨日の老人が気になった

というか、人と接したのが久しぶりだったからなのかもしれない


『今日も居るのかな?』


公園に入って周りを見渡したけど、老人の姿はない

僕は昨日と同じベンチに腰を下ろしてぼんやりと公園内の人たちを眺めた


昨日と人は違うけど、それでも昨日と似た風景

当たり前のことのように公園という風景の素材として人がいるように感じる


しばらくぼ~っとしていると


「おっ、今日も来ておったか」


突然、背後から老人の声がした

振り返る間もなく老人は、昨日のように隣に腰を下ろす


なんでわざわざ隣に座るんだ?


そう訝(いぶか)しんで老人を見やると


「あのなぁ、わしは毎日このベンチに座っとる。お前さんが昨日からわしの隣に座っとるんじゃぞ」


僕の顔色で頭の中の考えが解かったのか、老人がそう答えた


僕は慌ててベンチを立とうとすると


「まあまあ、座っとりなされ」


老人の手が肩を軽く押さえて立ち上がろうとする僕を再び座らせた



老人が僕の顔をまじまじと覗き込みながら


「もしかしてお前さん、自分を責めとるのか?」


・・・責める?


「まるで自分で自分を追い込んどるような目をしとるからのう。」



・・・・・・・・ そう


老人の言う通り確かに僕は自分を責めていた

欠点だらけの自分

そんな自分を半ば呪っていたかもしれない


自分ではどうしようもない欠点を、毎日学校で見せつけられ、蔑まれているようだ

だから学校へも行かなくなってしまった

わかっている けどどうしようもない・・・

そんな自分を呪っていた



『お・・おじいさんは・・・・』


「!?」


初めて言葉を発した僕に、目を丸くして老人が振り向く


『おじいさんは自分を・・・責めないの?』


何故か老人に聞いてみたくなった


「お、おぬし、しゃべれるんかい!」


老人は少しほころんだ顔になった



「責めるとはどういうふうにじゃ?」


『おじいさんは自分の欠点とか、嫌いなとことか・・・・そんなのないの?』


「欠点か。あぁ、わしゃ欠点だらけじゃぞ」


『そうなんだ。じゃあ・・・やっぱり自分を責めるの?』


「なんでじゃ?人間はみんな欠点だらけじゃ。それをいちいち責めとったらきりがない」


『そんなことない。欠点のない人もいるよ!』


僕は少しむきになって言った

学校の・・・クラスのみんなは・・・・

僕なんかより全然欠点が無い


「おらんさ、そんなやつは・・・。ただ自分の欠点を隠すのがうまいだけじゃ。」


隠すのがうまい?


『そうなの?』


「ああ、そうじゃ。人間ていうのはな、生まれながら欠けているんじゃよ。みんな、なにがしかの欠点を持って生まれてくる。しかも半分欠けているのが人間じゃ。」


『半分も?』


「ああそうじゃ。もし欠けていないなら、それは人間ではなくて神様じゃろうて。 人間はまん丸のちょうど半分欠けて生まれてくるんじゃ」


『・・・なんで半分?』


「実はな、自分のもう半分は別の人として生まれてくるからじゃ、たぶんなぁ。 その半分の片割れと、やがて人生のどこかで出会って、そうしてようやくまん丸になる。人という字が支えあっているゆえんじゃよ。」


『そう・・なんだ・・・』



「しかしな、これがなかなかうまいこと出会えんのじゃ。何でかわかるか?」


『ううん、わからない』


「それはな、皆が自分をちょっとでも良く見せようとして欠点を隠すからじゃ。欠けた部分を隠そうとして本当の姿とは違った姿になっとるから、片割れに気付かれないし、こちらも気付かない」


『・・・・・・』


老人の話は少し意外だったけど、それでもつい聞かずにはいられない



『そんな片割れって本当にいるの?』


「あぁ、居るとも。出会うはずの約束をして生まれて来とるからな、たぶん・・・。じゃが出会ってもなかなか気づかんのじゃ、これが。 どちらも欠けたものを隠そうとしとるからのう・・・困ったもんじゃ」


「みんな少しでも自分を良く見せようと、まん丸に近づけて見せようとしとるから、本当の形が解からなくなってしまう。じゃがそれでも解かるときもあるがな」


そんな片割れ本当にいるのだろうか?


『でもおじいさん、僕は欠点だらけでいっぱい欠けたところがあるんだよ』


「だから言っておろう、みんな半分は欠けておると。けっこう欠けとるぞ、みんな。」


『おじいさんも?』


「あぁ、わしもじゃ。」


みんなそんなに欠点があるのか・・・

そしてみんな隠しているだけなのか


『おじいさんは・・・そんな片割れの半分の人と出会えたの?』


「あぁ、出会えた。」


『そうなんだ、それじゃあきっと幸せなんだね。』


「あぁ・・・、幸せだったよ。」


そう言って遠くを見つめる老人の瞳はどこか寂しそうであった




『僕にも片割れがいて、いずれ出会えるのかな?』


「もちろんいるし出会えるとも。じゃが、さっきも言ったように隠しとったら気付かんし気付かれん。おぬしは隠すのがへたくそなんじゃろう。じゃがそのほうがええんじゃ。隠すのがうまいやつはせっかく出会えてもわからんままじゃからのう。」


『いつごろかなぁ?』


「さぁな~、5年後か10年後か30年後か・・・こればっかりはいつとは言えんが、お互い準備が出来たら出会うじゃろう。」


『準備があるの?』


「気付けるだけの準備が出来たらということじゃな。 気付けなければ出会ってても出会ってないのとおんなじことじゃからのう。」



『じゃあ、僕みたいに欠点だらけでもいいの?』


「わしゃおぬしの欠点など知らんが、それが人間じゃからそのまんまでええ。」


『じゃあ、隠して良く見せるよりこのまんまの方がいいの?』


「ん~、そうじゃなぁ~、世間ちゅうのは良く見せれるやつのほうをひいきにしたがるが、それがそもそもの間違いなんじゃ。自分で自分の首を絞めとるようなもんじゃからのう。 実は欠点のないやつを褒めながら、自分も欠点を隠さにゃならんようになる。ほんとは苦しいはずじゃぞ、みんな。」


『それじゃあ、僕が今まで苦しんでいたのって無駄だったのかな?』


「いや、無駄じゃないさ。それだけ自分の欠点を見つめて来たんじゃから、それはきっとこれから役に立つさ。」


今まで暗く立ち込めていた心の靄が薄れていることに興奮して、心臓がどきどきしていた



僕は老人の言葉を心の中で何度も反芻(はんすう)していた


『欠けててもええんじゃ・・・』


心の中で絡まったわだかまりを少しずつ紐解くように・・・・




「ではまたの~、少年」


と老人が言って立ち去る。

僕は自分の想いに没頭していて軽く会釈だけした


その後、しばらくして「ありがとう」とお礼を言うのをわすれていたことに気付いた



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家に帰り自室に戻ると、今までなんともなかったはずの部屋に息苦しさを感じる


カーテンを開け窓を開け放つと、少し冷たい風と共に金木犀(きんもくせい)の香りが入ってきた。

その香りで家の庭に咲く金木犀の花が咲いていることに今さらながら気付く。


その金木犀の心地よい香りを胸一杯に吸い込む。


その香りが今まで自分を苛んだ痛みを少しずつ和らげてくれるような気がした。






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